もっとおもいだす

忘備録のために書いてみます

穏やかに終わり、それでも続いていく

春は節目の季節。

新しいものが始まる出会いの季節と同時に、

これまでの居場所から巣立っていく別れの季節。

 

あなたにとって忘れられない夜はありますか?

 

初めて好きな女の子とデートした夏祭り。
初めての一人暮らしが始まった夜。
大雪が降った中でかけた電車の中。
学生時代最後の夜。

 

誰しもひとつはそんな瞬間があるでしょう。

これはそんなお話。誰しもあったかもしれない既に過ぎ去ってしまった懐かしい過去のお話。

 

 

その日は大学生活が終わり、5年間寝食を共にした部屋の退去日が明日に迫った夜のこと。

留年仲間の親友の2人と引越しの手伝いをしてもらった夜のこと。

日が落ちて辺りも寝静まり、酒も切らしてきた頃、尽きない思い出話も尽きる頃。


僕らはクイックルワイパーを片手に「深夜高速」を歌った。

 

「生きていて良かった生きていて良かった
生きていて良かったそんな夜を探してる」

 

みんなそれぞれの道を決めることはできたけど、望み通りの結果が得られたのは果たして3人うち何人いただろうか。

 

僕には希死念慮がある。中学生の頃からだろうか。
僕も、何度となく死ぬことを考えた。でも今こうして生きることが出来てる。
精神は死にたいと思っていても、体は死にたくないって叫んでた。それがどうしようもなく辛くって、でもどうしようもなく嬉しくて仕方がなかった。

 

死の瞬間はいつだって突然だ。
目の前に差し迫るトラック、あれほど死にたいと思っていた僕だけど奇跡的に避けることができた。

 

その後の感情は僕にはよく分からなかった。
体中の血がぐるぐる周り、脳みそに血が回る。
あれだけ死ぬことをシュミレーションして何度も何度も思考して、でも行動には移せなかった僕が生きていて良かったと思っている。

 

そう思えた時の衝撃たるや…

 

あの日のことは忘れられないけど、それでも僕は今生きているし、呼吸もしてる生き延びることができている。

 

学生自体の友人が自殺した話や、病死した話を聞いてもどう思ったかは思い出せないけど、今なら言える。

 

「生きていてよかった。生きていて良かった。」

 

これからも生きるためのタネをまいていく。
それを誓ったあの日の夜を忘れないように。

 

死にたいと思うことは悪いことではない、思いを消せないあなたが罪悪感を抱く必要もない。

 

似た想いに共感しつつ、それでも僕は生きていく。まいた種が誰かの救いとなるよう希望のタネをまいていく。

 

あなたにとって忘れられない夜はありますか?

 

フラワーカンパニーズより「深夜高速」